インタビュー 八太栄里(洋画)

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描いたことのない方にも亀岡の霧を

地元でようやく「自己紹介」できた

―――ワークショップはいかがでしたか。

私にとって今回がはじめての経験で、楽しんでもらえるか不安もありました。事前予約制だったのですが、当日参加の方が来てくださって楽しんでもらえたので良かったです。

 ―――楽しんでもらうためにどんな工夫をされましたか?

子供から大人の方まで幅広く参加してもらえればと考えていたので、まったく絵を描いたことのない方でも、手を動かしたら気づけばそれが作品になっている。そんなほうが気軽かなと思って。あと、せっかく「かめおか霧の芸術祭」というネーミングのイベントなので、亀岡の霧を表現するという内容にしました。

 ―――どういった想いでキックオフイベントの講師を引き受けられたのですか?

地元亀岡で活動できる場所がなくて……私は普段大阪で仕事をし、大阪東京で展示をしたりするんですけど、京都や亀岡で自分の作品を展示する機会がなかったので1回やってみたいなと。亀岡にこういう作家が住んでいるんだよという自己紹介ができればいいと思いました。

亀岡とアートとの繋がり

―――八太さんは亀岡の風景の作品があり、今回のワークショップも亀岡の風景を使われたということですが、八太さんにとっての亀岡の良さを教えてください。

まず、自然が豊かで空が広いところです。私の制作スタイルとして都会よりも、空の広い亀岡のほうが落ち着きます。そんな場所であるのに京都市からも近いですし、国道沿いにお店もあるので不便はしない。近いのに住みやすい田舎ですね。そして、作家としての観点から思う亀岡の良さはものづくりをされているアーティストの方との繋がりの深さです。都会では繋がりにくいジャンルのアーティストさんとも知り合えて、情報交換できたりします。

 ―――2020年の「かめおか霧の芸術祭」に参加されるとしたら、どういうことをしてみたいですか?

参加できるのであれば、アーティストとして参加したいです。展示する場所をいただければ嬉しいですし、またワークショップをできる機会があれば今回のようなことをもう一度やってみたいとも思いますし、がっつり絵を描くこともやりたいです。デッサンとか。好きやけどデッサンやったことない人って多いんです。わざわざ絵画教室に通わなくてもワークショップで描き方とかだけでも体験してもらえたらいいかなと思います。

文 / 野々口(京都造形芸術大学文芸表現学科2年生)

八太栄里(はった・えり)
美術家 。1989年京都府亀岡市生まれ 。2011年大阪デザイナー専門学校研究科卒業。
時の経過の中で取り残され、忘れ去られていくものが放つ存在感に注目し、その土地の気配や記憶、そこにまつわる人の記憶や魂など、目に見えないものの形を想像し画面に現すことを目指している。ありふれた景色を拾い、絵画として成立させることで日常の見方を変え、新たな思考を働かせるきっかけを展開する。
画材は主にアクリル絵具。個展・アートフェア・企画展多数参加。

公開日:2019年7月4日