恵の雨

畑の土が、紫外線で突き刺されているような晴天が数週間続いた。
梅雨の間に十分吸ったであろう水気も一切感じないほど、土は、カラカラに乾いている。
日差しを好んでいるのは、雑草だけで野菜は、都心の23時、駅のホームで肩をぐったりと落としたサラリーマンのように、葉を下ろしている。
彼らが、栄養ドリンクを飲むように、私も野菜に水をあげてみるが、一行に元気にならない。

雨が少しだけでも降ることを日々願う。

久しぶりに夕立が来そうだ。

夕立の雲は、天気予報の雨雲と真逆の方向からやってくる。
山が、雨雲の飼い主のように、雨雲は、ゆっくりと山の周りを歩いてくる。
夕立が降る時は、まず初めに、鳥が飛んでいく。そして、風が吹き始め、一斉に雨粒を地に降らせていく。

久しぶりの雨は、私にとって安らぎの存在となっていた。

翌日の野菜たちは、葉を広げ、活力に満ちた姿となっていた。