インタビュー ベリーマキコ(日本画)
- インタビュー
みんなが自由に表現できるように
チャレンジしてみました
―――今日のワークショップをやってみた感想を教えてください。
私にとってはチャレンジなワークショップでした。来てくださったお客さんが、障がいを持っている方といわゆる健常者の方とのミックスだったんです。私は普段、亀岡市の中で障がいのある方のクラスを担当させていただいたりしているのですが、今回のようなケースは全然なくて、ぜひ挑戦してみたいという思いから、このような公の場所で取り組みました。
―――今回のような岩絵の具を使用したワークショップは頻繁に行われているのですか?
ワークショップは頻繁に行っていますが、岩絵の具を使用することは少ないです。ですが今回は「亀岡」というテーマだったので、ぜひ天然の岩絵の具を使用したいと思いました。
―――使用した岩絵の具は具体的にどのようなものなのでしょうか?
岩絵の具は全て亀岡のもので、今回は20種類近くのものを持ってきました。材料も全て自分で採集し、金槌で細かく砕いてからひたすら乳鉢と乳棒でぐるぐるかき混ぜます。
「手作業で作る」ことを伝えたい
―――普段から何か意識していることはありますか?
常に自然の素材というのは重要視しています。例えば、私は子どもたちを対象にした教室も行っているのですが、12月はリースを作ろうと考えていて、それに使用する材料も山から採ってきて本当の自然のものを使用してもらいたいと考えています。
―――教室にやってくる子どもたちはどんなようすでしょうか。
例えば、12月はしめ縄を作る教室も行っていて、始めてからもう10年くらい経ちます。みんな足に藁を挟んで、できるように徐々になっていきます。幼稚園くらいから来てくれる子たちでも、5、6年になる頃にはみんなができるようになっているので、とても感心します。私はおじいちゃんとおばあちゃんと一緒に住んでいたので、昔からの手作業で何かを作るということにとても親しんできたので、それを今の子ども達に伝えたいという想いがあります。
アートを通じて人とつながる
―――これからもこういったイベントを行うと思うのですが、次回はこんなことがしたい、というようなプランはありますか?
地元の亀岡でこのような芸術祭があるのはうれしいし、楽しみなので何か協力できることがあればやりたいです。私はアートを通じて人とつながることが好きなので、今回のようなワークショップというのは身近にアートを感じてもらえるとてもいい方法だと思っています。上手い下手は関係ありません。大人の人も昔に言われたことがトラウマになって作品を描けなくなってしまうことが多かったりします。「それは違う」と誰かに言われたことをずっと気にしてしまい、「私は絵が下手だ」と思ってしまうんです。だから私は、自由に表現したら気持ちも解放されるのかなと思いますし、いろんな人が自由に表現できたらいいなと思っています。
文 / 川村咲樹(京都造形芸術大学文芸表現学科3年)
ベリーマキコ
日本画家。1975年京都府亀岡市に生まれる。1998年成安造形大学造形美術科日本画クラス卒業。翌年、同クラス研究生を修了後、米国メトロポリタン美術館(ニューヨーク)の東洋美術修復室に勤務。2009年、幼児から高校生の感性を磨く「のびなびあーと」を開講。
公開日:2019年7月4日