インタビュー 長尾淳一郎(料理)
- インタビュー
枠にとらわれない自由な料理を
子どもはちゃんとわかってる
−−−ワークショップはいかがでしたか?
楽しかったです。こう言うことが初めてで、手探りというか、枠にとらわれない自由な料理を楽しんでくれたらなと。
−−−−味付けやテーブルセッティングなど、すべて子どもたちに任せていましたね。特に印象に残ったことはありますか。
「自分たちでやった」という自信をつける経験を子どもの頃にするのはいいと思うんです。これをしましょうって枠をそのまま計算通りやらされても、僕自身面白くないですし、自分たちで考える方がこれからの時代は大事だと思っています。それに子どもって、実はちゃんとわかってるなって。1人の人間として信頼し、自分のことは自分で片付ける、と言ったらちゃんとやってくれて、すごく印象的でした。
−−−参加対象が小学生から高校生までとなっていましたが、それは主催者の意向ですか? それとも長尾さんの希望でしょうか?
僕がその方がいいなと思いました。大人も参加すると、こういった雰囲気にはならなかったな、って。大人がいると、こうしないといけない、となりそうで。
−−−昔からお料理はお好きだったんですか?
高校の時、引きこもりみたいになっちゃって。なんとかして生きないと、と思って、身近だった料理をやってみたんです。レシピも何も見ずにやって、出来上がったものを、なぜか母親に持っていったんですね。そのとき「美味しい」って言ってくれたのが嬉しくて。その記憶がこういう形になったんだと思います。
−−−−今回のお料理、ほとんど味見をされていなかったのに味が整っていました。あんなに整うものなのですか? そして、肉の皮や野菜など余すことなく食材を使っていましたが、これはフランス料理の基本なのでしょうか?
いえ、今日は偶然です。まぐれですね。素材が良かったので塩だけって感じです。
食材の使い方に関しては、いつもそうしています。生ゴミとかは僕が家に持って帰って畑の肥料にするんです。そして、またその肥料が野菜になって返ってきます。
亀岡の閉鎖的なイメージを壊したい
−−−地元の方から見た亀岡の魅力を教えてください。
幼稚園の時、東京から引っ越してきたんです。それが純亀岡の人と視点が変わる大きな要素だと思っているんですけど。僕個人としては亀岡=閉鎖的というイメージがあるので、それをこの芸術祭で少し壊したいと思っています。
−−−かめおか霧の芸術祭で、今回のような機会があったら、どんなことに挑戦したいですか?
自分たちの家の冷蔵庫からいらないものを持って来て、それで料理を作るというのをやりたいと思っています。メニューも自分たちで考えて、人に振る舞う。いまレストラン業界で、フードロスという、食材を無駄にしない活動が広がっていて。それをこの亀岡の大きい芸術祭でもできれば、そういう意識も高まるかもしれないし、イベントとして楽しんでもらえるかもしれません。
文 / 高橋順香(京都造形芸術大学文芸表現学科2年生)
長尾淳一郎(ながお・じゅんいちろう)
ゲストハウス藤原邸の一室でフランス料理店「RESTAURANT 淳」を開業。
公開日:2019年7月4日