図書企画 「霧」イベントレポート

図書企画 「霧」

2021年11月1日〜2022年2月28日

開かれたアトリエ図書コーナーでは季節に応じてテーマを設け、亀岡市立図書館と共にさまざまな本を選書し、本のある空間をつくっております。
この本棚からさまざまな先人たちの知恵に触れ、1歩立ち止まり、日々の暮らしを考え、それぞれの日常が豊かなものになることを目標としています。

第三回目のメインテーマは「霧」
秋〜春にかけて亀岡のまちに広がる「丹波霧」。山の上からみる霧はきれいですが、
霧に包まれたまちでの生活は、前がみえなくて通勤がこわかったり、前髪をセットしたけど濡れちゃったりとあまりいい印象を持っていなかったりします。
はたまた霧を綺麗な風景として写真におさめられている方がいたり、霧(寒暖差)のおかげで畑の野菜がおいしくなったりといい印象だったり。
いろんな視点で霧は自然と共にある生活を考える機会をくれます。

いつもある景色や出来事によりそうことで心が動いたり、新しい発見をする。
みえていなかった世界に触れなおすきっかけにとテーマを選びました。

本にまつわるイベント内容

—ワークショップ
—展示
—霧の絵本の読み聞かせ

=「木片で霧のまちづくり」ワークショップ=

(2020年11月28日 ボンボンマルシェvol.2で開催)
一緒につくる人
●森太三(美術家)
●山成研究所 辰巳雄基(作家・蒐集家)・大垣留衣(ものづくり科学実験教室 講師)

亀岡にアトリエを構え、開かれたアトリエの本棚を製作いいただいた森太三さん
森さんの作品からでてくる色とりどりの木端を組み合わせ
クルマや家・ビル・山・動物など思い思いの霧のまちを参加者につくってもらいました。

つくりかたはとっても簡単
はじめに土地パーツ(いろんな作品からでてくる木端なので形や大きさはさまざま)の中から
土地をえらび(土地の価格は300円〜)
その上に好きなだけ木片をくっつけて建築してもらいました。

いままでさわったことがない素材や接着剤でも使い方を覚えると、
目をキラキラさせ次々に素敵な建てものがたち上がりました。
ある子は同じ形の木片を迷うことなくたくさん並べていて、、、
できあがった作品にタイトルをつけてもらうと「うちゅうとかみんなのおうちとかおみせとかあるまち」と…ただただ驚きました。
こんな小さな木の板の上に、ものすごく大きな世界を描いていて
こどもたちの頭の中に広がる大きな世界を覗かせてもらいました。

参加者はこどもだけではなくおとなも真剣に、なんならおとなの方がこどもにかえったような目をして夢中になっていたように思います。

=「霧のまち」展示=

(期間:2021年1月15日〜2月10日)

ワークショップでできた霧のまちや、たてものたちを大集合させ
開かれたアトリエの真ん中に展示をおこないました。
展示をみにきてくれた人や開かれたアトリエに来ていた方に「つくってみたい」との声が多くあり、
急遽その場でつくったものを展示させてもらったりして、会期中続々と霧のたてものが増えていき、
見所たくさんのまちになりました。

=「木片で霧のまちづくり」ワークショップ=

(2021年1月23日 霧の芸術館のイベントとして開催)
一緒につくる人
●森太三(美術家)
●山成研究所 辰巳雄基(作家・蒐集家)・大垣留衣(ものづくり科学実験教室 講師)

展示開催中のワークショップ
展示されている全体の様子や他の作品をじっくりみてから、「自分だったらこんなのがいいな」と自分なりに考えを巡らせてからつくっている様子で、参加者の中には3時間くらいじっくりつくる子がいたりと、たくさんの大作が生まれました。

・大きな土地がたくさんある中、小さな土地をえらび、小さな小さな世界をつくりこむ子
三角形ばかりをくっつけて、みたことないような近未来の建築物をつくる農家さん
・長い間木片をじっくり選んでいたと思えば、つくりはじめると、どんどん迷いなく突き進む子
・木目の模様が幽霊のようでそこから幽霊の村をつくる青年

などなど、つくられていく「霧のまち」をみるたびに新しい発見がありました。

作品ができたがった後は、どこに展示するかも一緒に決めていきました。

タイトルもおもしろいものがたくさんありましたが、その中のひとつをご紹介

ひらがなを覚えたばかりの子が、知っているひらがなを駆使してタイトルをめきめきと書いてくれました
作品は超大作でタイトルも長大作でした。
この素敵すぎるタイトルを文字起こしして作る自信がなかったので、そのままトレースしてキャプションをつくらせてもらいました。

展示をいつも見ていた市役所を掃除されている方々も、ずっと気になっていたようで、お孫さんや自分用に「家でつくりたい」
と声をかけてくれたことも、とても嬉しい出来事でした。

=霧の絵本の読み聞かせ=

(2021年1月23日 霧の芸術館のイベントとして開催)

亀岡市立図書館より司書の内藤さんにお越しいただき
・もりのおふろ  さく: にしむらしげお
・きりのなかのはりねずみ  さく:ノルシュテイン  / コズロフ   え:ヤールブソワ  やく:こじま ひろこ
の絵本の読み聞かせをしていただきました。

「もりのおふろ」を聞いた親子の会話
父「帰ったらお父さんの背中ごしごししてくれる?」息子「うん!(大きくうなずく)」

絵本からつながる、そのあとの生活をみれたようで嬉しかった光景です。

コロナ渦ということもあり、少人数での開催となりましたが
来てくれた親子の目を見て、ひとりひとりに語りかけるように読み聞かをしてくださる内藤さん。
少人数だからこその伝え方もあるなーと司書さんからいつも学びをいただいています。

参加者がどんどん増えるワークショップや展示を通して、とっても発見の多いイベントとなりました
これからも亀岡の方々にさまざまなことを教わりながら
イベントを開催したり、本のある空間づくりや遊びや知恵を共有できる場づくりをしていきたいと思います。

次回のテーマは衣(ころも)です
今日はここまで!

山成研究所 大垣留衣