城跡芸術展2024|Eventレポート
水面に映る城壁や、植物園の小道にさす木漏れ日、赤松の林の黒い影、まるで城跡そのものが作品であるかのような丹波亀山城跡(大本本部)を舞台に、亀岡にゆかりの深いアーティストが展示を行う、かめおか霧の芸術祭が監修する展覧会「城跡芸術展」。
絵画や陶器、漆器、インスタレーション、パフォーマンスに至るまで様々な展示が行われています。これまでの芸術祭で培われてきた関係性から、若手の作家から大御所までが一堂に会する芸術のお祭りの場、としても機能しています。
2022年からは新たに、市民から芸術展や芸術祭を支える人材を募集し、「市民サポーター」も誕生。また、展示会場として大本花明山植物園(日本の在来種を中心に約1000種類もの植物が栽培、保護されている植物園)や松林、中庭、広場など屋外へも広がり、新たな可能性や体験が生まれてました。
そして、本年度の「城跡芸術展2024」では、アーティストの作品展示[Exhibition]と、各々の特性に合わせたイベント[Event]を展開し、市民とアーティストが芸術を通じて、よりさまざまな形で出会い交流する機会を創造しました。
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会期:
2024年10月12日(土)〜 10月27日(日)
10:00-16:30 (会期中 無休)
会場:丹波亀山城跡(大本本部)
観覧料:無料
出展作家(五十音順): 稲あゆ美/上野裕二郎/Acoon Hibino/大石早矢香/大村大悟/大矢一成/奥村博美/栗本夏樹/小峰花香/ZENG HUIRU/柞磨祥子/崔石鎬/辻將成/出口鯉太郎/でぐちみつぎ/中山元宗/西野康造/日置結弥/フォックチン/ベリーマキコ/松井利夫/松岡勇樹/森太三/八木良太/安井友幸/山口さとこ/山本和夫/吉田伊佐
主催:かめおか霧の芸術祭実行委員会、亀岡市
助成:令和6年度 文化庁 文化芸術創造拠点京成事業
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▼Eventレポート(開催順)
・ベリーマキコ
9月15日(日)10:30〜12:30
ワークショップ
かめおかのむかしばなし
亀岡、口丹の言葉が使われた物語を題材に絵を描き、それらをつなぎ合わせて一枚の絵巻物をつくる。 亀岡、口丹の言葉が使われた物語を題材に絵巻物を制作しました。大きな紙に画材を自由に使い、時には手に絵の具をつけて絵を描き、それらをつなぎ合わせて大きな絵巻物が出来上がりました!ワークショップで制作した作品は城跡芸術展の会場で展示しました。
・松岡勇樹/上野裕二郎
10月11日(日)
トーク
松岡勇樹・上野裕二郎 × 亀岡高校生 クロストーク
亀岡高校の卒業生であり作家活動を続けるおふたりが母校を訪問し、亀岡高校美術・工芸専攻3年生と語り合いました。高校時代のお話や、作家として歩むきっかけなどを聞き、高校生は自らの将来に重ねている様子も見られました。
・松井利夫
10月12日(土)10:30〜12:00
トーク
ART IS EASY, LIFE IS DIFFICULT
かめおか霧の芸術祭総合プロデューサー松井利夫と、プロデューサーの野田智子、城跡芸術展ディレクターの奥岡莞司が城跡芸術展について語りました。これまでの歩みや苦労、今年度の城跡芸術展への想いなど90分語り尽くしました。
・でぐちみつぎ/澤田徹
10月13日(日)13:30〜16:00
ワークショップ
植物園を歩く旅&植物標本作り
植物園の職員でもあるみつぎさんと秋の花明山植物園を歩き、植物の手入れの方法なども交えながら、見どころを解説していただきました。植物標本作りでは、澤田徹さんと、植物の特徴を調べる植物標本の作製を体験しました。
・フォックチン
10月13日(日)14:30〜16:00
ワークショップ
はっぱではんが
花明山植物園の葉っぱを素材に、コラグラフ版画技法で小型版画を作りました。コラグラフは実物の凹凸を紙に転写する技法で植物の細部や葉脈を観察することができます。参加者は好きな葉っぱを見つけ、専用の道具を使い版画にしました。
・大本音頭会/日置結弥
10月13日(日)16:00〜18:00
ワークショップ
霧の輪踊り
丹波音頭をはじめとした、この地域と大本に伝わる踊りを、歌と演奏とともに輪になって踊りました。輪踊りの前には、振付を覚えるワークショップを開催、夕暮れの広場にこどもたちの声と音頭の歌声が響きました。
・稲あゆ美
10月14日 (月・祝)10:00〜12:00 / 13:00〜15:00
ワークショップ
共に「積み上げる」つづれ織の石垣を作ろう
丹波亀山城跡の石垣をモチーフにつづれ織の技法で小さな石垣の石を織りました。実際の石垣をモチーフに、参加者は色とりどりの毛糸から好きな色を選び、織っていきました。作った作品は会期中ロビーに展示され、多くの方に見ていただけました。
・安井友幸
10月14日(月・祝)13:30〜15:00
ワークショップ
小さくなって絶景ハンティング!
自分の好きなポーズで写真を撮り、自分自身のミニチュアをつくることからスタート。作ったミニチュアを持って、展示会場に繰り出しました。風景の中に置いてみたり、展示会場の景色と見立て、普段と違った風景の見え方を楽しみました。
・山本和夫
10月19日(土)12:30〜14:00
ワークショップ
水墨画教室
筆と墨と水で万物を描ききる表現である水墨画の基本を教わりました。お手本を見ながら実際に竹や草を描き、筆運びや墨の濃淡の出し方などを身体で学びました。一本の筆で描き分けるのは難しいですが、みなさん教わったように勢いよく筆を動かし、絵を描きました。
・吉田伊佐
10月20日(日) 13:00〜14:30
ワークショップ
一木一草に絵心を
吉田伊佐さんと花明山植物園へ写生に出かけました。普段から吉田さん自身が心掛けているように、自然の中の「一木一草」をじっくり観察し、「小さきもの」「取るに足らないもの」を愛でる気持ちで丁寧にスケッチブックに描いているのが印象的でした。
・森太三
10月20日(日)10:30〜12:00
ワークショップ
色相の椅子をつくる
森太三さんが制作した木製の椅子の部材ひとつひとつに色を塗り、色彩豊かな椅子を制作しました。たくさんの絵の具の中から好きな色を選び、マスキングテープを用いて自由に塗り分けていき、色とりどりの椅子が完成しました。
・ZENG HUIRU
10月20日(日)14:30〜16:00
ツアー
作品鑑賞プログラム「土のかたち」
ZENG HUIRUさんと参加者とが一緒に作品を鑑賞しました。作品の制作背景を聞き、参加者はぞれぞれ感じでいることを言葉にして共有しました。じっくり時間をかけて鑑賞することで、様々な角度から作品を見つめる時間となりました。
・大矢一成
10月26日(土)13:00〜14:30
ワークショップ
” 釣り合う!”を見つける
ものの中に潜む”釣り合い”の取れる一点を見つける体験をしました。物には重さがあり、必ずどこかに釣り合う一点があります。参加者は植物園の草木を手に取り、釣り合う一点を探しました。これらを体験を通して、自分なりの美のポイントを探りました。
・大石早矢香
10月26日(土)14:30〜16:30
ワークショップ
My decoration 装飾で、私だけのフォトフレームを作ろう
草木やビーズ、ざまざまな素材のパーツと⽯粉粘⼟を組み合わせ、オリジナルのフォトフレームを制作しました。パーツの中には大石さんの作品に実際に使われているものも。参加者は思い思いのパーツを手に取り”飾る”という行為を楽しみました。
・栗本夏樹/柞磨祥子/小峰花香
10月27日(日)11:00〜12:00
アーティストクロストーク
「漆作家に訊ねる。- 3つの視点から考える漆の可能性- 」
漆を用いて作品制作を行う三名の作家のクロストークを開催しました。それぞれのこれまでの活動や作品の紹介から始まり、漆の魅力や可能性などを語りました。クロストーク終了後には、参加者と共に作品を鑑賞しました。
・大村大悟
10月27日(日)14:00〜15:30
ツアー
作品鑑賞プログラム「作品との距離」
大村大悟さん、ファシリテーター野田智子さんとともに、参加者が対話しながら作品を鑑賞しました。最初の15分は作品を眺めたり座ったり自由に鑑賞し、その後は対象物との物理的な「距離」や制作の背景などを聞き、感じる心理的な「距離」について考えました。
・奥村博美
11月17日(日)13:30〜16:30
ワークショップ
襤褸のうつわ(掛け花生け)を作ろう
奥村博美さんの展示作品中にも用いられた襤褸を使った陶芸技法で「掛け花生け」を制作しました。参加者は教わった技法を使いながら自由に造形しました。中には陶芸経験者も多く、体験をとおして制作の幅を広げる機会となりました。
・出口鯉太郎
11月1日(金)18:00〜20:00
ワークショップ
「ウリズン」オープンアトリエ & 窯焚き体験
出口鯉太郎さんが代表を務めるウリズンを訪問し、登り窯の窯焚きを体験しました。窯の中から溢れる熱を感じながら薪を焚べました。また、ろくろでのお茶碗づくりも体験し、土の感触を楽しみました。
・山口さとこ/崔石鎬
11月30日(土)14:00〜16:00
オープンアトリエ
山口さとこ・崔石鎬 オープンアトリエツアー
おふたりのアトリエを訪問しました。山口さとこの石の彫刻作品は自然豊かなミチガーデンに並びます。参加者は撫でたり座ったりと自由に鑑賞しました。崔石鎬のアトリエでは、制作現場を見学し、プチワークショップでは紙とペンを使い「心の表現」を体験しました。
・西野康造
12月8日(日)13:00〜16:00
オープンアトリエ
西野康造 オープンアトリエ
金属をおもな素材として彫刻作品を展開する西野康造さんのアトリエを訪問し、現在制作中の作品や、素材を加工する大きな機械などを見学しました。また、電解着色という方法でチタンに色をつける工程を体験、オリジナルのストローを作りました。
・Acoon Hibino
12月15日(日)13:00〜15:00
オープンアトリエ
自然によって作られる音、倍音を知る
ピアニスト・作曲家であるAcoon Hibinoさんの活動拠点MOON Studioを訪ねました。作曲に用いる「倍音」についての説明を聞き、シンギングボウル(倍音鉢)を体験。最後にはミニコンサートが行われ、音の自然とのつながりや調和を身体で感じました。
・辻將成
12月22日(日)14:00〜16:00
パフォーマンス
「DUALITY」上映会
前年度の城跡芸術展2023にて展示した自身のパフォーマンス ”DUALITY” を、映像作品として再構成し、上映会を行いました。上映終了後には、辻將成さん、映像ディレクター 鈴木健太さん、本展ディレクター 奥岡莞司のクロストークを開催。人はなぜ踊るのかという概念的な問いを深めました。
・八木良太
1月13日(月・祝)14:00〜16:00
オープンアトリエ
八木良太 オープンアトリエ
八木良太さんの幅広い領域の作品を生み出す、数々のパーツや部品、材料を見せていただきました。「竜の涙」と呼ばれる砂に混ざる透明な粒を見つける作業を体験、ものづくりの原初的な面白さを感じました。
・中山元宗/道下組
2月15日(土)13:00〜15:00
ワークショップ
「土から産まれ、家を守り、土に還る壁」ワークショップ
会場となったKIRICAFEの周辺を歩き、今も残る土塀を見学しました。土塀の歴史や作り方を聞き、壁が土から生まれていること、人々の手で作られていくことを学びました。学んだ後は漆喰を塗る体験をしました。