〜めぐるかめおか〜|川とともに暮らす亀岡 2070オンラインシンポジウム
開催日時:2021年2月23日(水・祝)14時〜16時10分
開催場所:KIRI CAFE
ホスト:流域空間デザイン研究会(立命館大学・京都大学・金沢大学共同研究プロジェクト)
お客さん:Youtube(約20名)・Facebook(約8名)計約28名
『川とともに暮らす亀岡 2070オンラインシンポジウム』では、流域空間デザイン研究会が主催する市民+学生のワークショップ「川とともに暮らす亀岡2070」の成果発表をオンラインシンポジウム形式で、YouTubeとFacebookでライブ同時配信をしました。司会は花岡和聖さん(立命館大学)。
本ワークショップは、気候変動・人口減少という大きな変化を経て、なお魅力的であり続ける未来の亀岡の姿を描くために行いました。
地球規模の気候変動を見据え、日本では河川の外側にも着目し、流域全体で水を受け止める新しい治水方式への転換が進められています。海外でも、より多くの水を積極的に受け止めながらまち全体として安全かつ快適に暮らすための、水を活かしたまちづくりや都市開発がすでに活発化しています。今後ますます激化する豪雨の予測のなか、亀岡が長期的に持続可能で、魅力的であり続けるためにどのような方向性があるのか。
本ワークショップでは、亀岡市役所の若手職員がファシリテーターをつとめ、市民や市内外の学生から参加者を募り、アイデアを出し合いました。
【第一部】 各班成果発表(司会: 大野智彦・金沢大)
・ズートピアへの道(1班 谷口さん)
具体的な施策や実現イメージがイラストと共に紹介され、とても想像しやすいものでした。「母なる川と共に生きる街、かめおか」というズートピアに向けたマニュフェストが印象的でした。
谷口さん「実際に会って話すことの大切さは、3回のワークショップと保津川下りの体験で実感した。」
・現代版「村」を目指したまちづくり(2班 栗林さん)
遊水・親水地を利用し、現代の技術と自然が組み合わさった新しい「村」を感じました。
栗林さん「現代版とつけたことで、多様な価値観を受け入れる協力的なコミュニティを想像できたのでは。」
・ハーモニー亀岡〜川とつながり川でつなぐ〜(3班 湯浅さん、八木さん)
人・街・自然(川)がつながった調和した社会のイメージが具体的に共有されました。
八木さん(オンライン)「京都市と亀岡市、両方住んでみて気づいたことがあった。これからも参加していきたい。」
・未来のトトロ(4班 深川さん)
犬飼川流域の集落モデルの構想が、非常に具体的で想像しやすいものでした。また、着目→体験→実践→発展→定着という50年後までのイメージが現実的な段階の流れだったことが印象的でした。
深川さん「地域に即した提案ができたらと思ったので、班のメンバーと協力しながら作り上げていった。」
・地域文化と遊びごころを育む水辺のデザイン(5班 赤池さん、並河さん)
遊水池の存在があることで、「人と水との距離を近づける」という言葉が印象的でした。また、経済とも組み合わせたり、川がある「まちごとホテル」の提案も新しく興味深かったです。
並河さん「実際に土地の未来を描く上で、経済的な部分も必要というところでそこにスポットが当たったと思う。」
最後に、司会の大野さんから「遊水池という言葉がどのグループも出ていた。今までの遊水池という言葉を超えているように思った。新しい言葉が必要なのではないか。」という話がありました。
【第二部】総合ディスカッション
第二部からは登壇者に桂川孝裕氏(亀岡市長)、仲山徳音氏・並河杏奈氏(Fogin)、コーディネーターに武田史朗さん(立命館大)、山口敬太さん(京都大)でディスカッションが行われました。
前半の発表を聞いての感想をお一人ずつ話されました。
仲山さん「自分の街について話す中で、川を生活の中にイメージしやすい。まちづくりと川がリンクしている。発表が具体的で今までになく、すごく良い視点をもらえた。」
武田さん「川とまちづくりは切り離されがちだが、良い街は本来は川と一緒にできてきた歴史もある。」
桂川市長「50年先のビジョン、亀岡は水害の歴史の街。京都の遊水地として存在してきた。今までは川を押さえ込んでいこうとしていた。どのように乗り越えていけるか。水害を待って楽しめるような地域にしていく必要がある。川が魅力的な要素になるように。」
並河さん「川は子供の頃はすごく身近だった。川は自分の成長と共に離れてしまった感覚があった。川で遊びたいが、どれくらい近づいて良いのか分からないという声を聞いた。川と自分たちの暮らしを捉え直す時間になったのではないか。」
山口さん「このワークショップは難しいテーマだったと思う。一人じゃできない、亀岡がより良い故郷になっていくような、亀岡のポテンシャルをうまく引き出していて、地域像が具体的に魅力的に感じられた。亀岡のまちづくりの方向性が示された。」
武田さん「このように考え続け流ことで、引き出しが増える。」
桂川市長「自然の河川をどのようにして氾濫源でなく、親水源として生かしていけるか。許容量のある街を作っていくことが大事。亀岡水辺公園の計画を進めている。母なる川というイメージ、そんな場作りをしていけたらと思う。」
武田さん「スポンジのような吸収する町が思い浮かんだ。海外にある、ABCプログラム(Active,Beautiful,Clean)が思い出された。」
仲山さん「水と川との関係で、今まで見過ごしがちだった農地や経済などを見直すこと、関わり合いや生業の中で解決していける一つの問題定義ではなかったのかと思って見ていました。亀岡は歴史がすごくある町なので、今までの歴史や地域の想いを踏まえて、もっと考えられていくと個性が出ると思う。」
並河さん「自然を豊かに残しながらできる発展とはなんだろう。まちの人が認識して、発信できるところにつながっていくのでは。」
山口さん「ネガティブだと考えられていることをポジティブに変えていく。発想の転換。」
武田さん「聞いた話だが、霧は亀岡の特徴でもあるが、少しネガティブに捉える方もいたと。逆手にとって霧の芸術祭も行われた。」
全体の感想
桂川市長「新しい亀岡の創造の始まりなのかな。今回のように保津川支流の提案は今までなかった。保津川への負担を減らしていけるのでは。」
『川と共に暮らす亀岡2070』、50年後という先の話でしたがどの発表も現実的で、また今の亀岡がより魅力的であり続けるための将来が想像できるワクワクできるお話でした。川とまちを一緒に考える。近年、水害などネガティブなイメージを昔と同じな川を現代の技術やニーズと合わせることで、昔と同じ生活の一部として取り込んでいく将来が見えてきた気がします。
*【川とともに暮らす亀岡 2070オンラインシンポジウム】のアーカイブ動画は、Youtubeからご覧いただけます。