KIRI²芸術大学|手から学ぶ「竹さえあれば作れちゃう〜竹ベンチテーブルWS〜」レポート
KIRI²芸術大学 手から学ぶ
8月27日(日)10:00~14:00「竹さえあれば作れちゃう〜竹ベンチテーブルWS〜」
講師:成山悟司(竹工芸作家)
参加者:10名
「腰掛ける場所があると、人は自然とそこに居座る。
居座ると、そこが誰かの居場所になる。」
そんな思いから、かめおか霧の芸術祭の拠点のひとつであるKIRIFARMにベンチテーブルを作成することに。
使用する材は「竹」。しなやかでいて強靭、日本各地に生息し、何より成長が早い。
講師は竹工芸作家のなりさんこと、成山悟司さん。
繊細な工芸作品から、イベントで使う竹テントなどの大きなものまで手がけてしまうすごい人。
まずはみんなで紐の結び方を学ぶ。今回の竹をつなぐのはシュロ縄。シュロはたわしにも使われるほど水にも強い。
基本的な結び方を使って十字の結び方など応用させていく。
そして次に竹釘の作り方を教わる。穴の直径に併せて大きすぎては入らない、細すぎては使えない。ちょうどいい太さにするのにはコツがいる。慣れないナタを駆使して、徐々に作るのが上手になっていく。繰り返し、繰り返し。
さて、実際に竹を組んでいく。
3mの竹を4本、てっぺんで強く結ぶ。夏の日差しがじりじりと刺さる。
次に、土台の枠となる横棒の竹を取り付けていく。四方から見て傾きをチェックしないと結構ズレている。高さを揃えるためのものも竹で。
結び方を覚えた人が、隣の人に教える。
手を動かしていくごとに、教えられるひとがどんどん増えていく。
縄を美しく結ぶ人の隣でドリルで穴をあける女子がいて、
グラインダーで竹の節を削る母がいる。
たくましさが波紋のように広がっていく。
同時並行でそうめん流し用の竹を割る。初めはナタを入れて少しずつ。1mほど割れたら手でえいやと持ち上げる。一節ごとに高い太鼓のような音が響き渡って、気持ちよく割れていく。
気づいたら、そうめん流しの竹を置く台まで組まれていて、手際のいいお母さんたちが、そうめんを何十束もゆがいてくれていた。
KIRIFARMに突如そびえ立った2基のベンチテーブル
高いものが立つとこんなにも視線が変わるんだと驚かされる。
でも不思議とずっとここにあったかのような馴染み方。
みんなお疲れ様!
さあさあ、そうめんを流します
左利きの人と、右利きの人、ままならない箸の持ち方でも上手にすくうちびっこ。
KIRIFARMのシソや、参加者の方が持ってきてくれたオクラなど畑の恵みを薬味にしていただきました。
一番の薬味は「竹に流すこと」
皆で、夏の風物詩を味わいました。
竹は古くから様々な場面で人の生活に馴染んできた素材だけど、私たちはその身近にある素材を活かす術を失いつつあります。
各地で放置竹林が問題になっているものの、竹林整備は中々の労力が必要。
まずは、竹に触れ、手を動かしてみて、身近な素材としてもう一度引き寄せてみる。
そんなきっかけになれたのなら嬉しいです。
「KIRI²芸術大学 手から学ぶ」
今回は「竹」を通して「つくる」を身近に。
文:奥岡なぎ