KIRI²芸術大学|こだわりの金物を作る野鍛冶体験 レポート

2022 2月19日(土)10:00~15:00
講師 :堀田典男さん
参加者:6
参加費:ペーパーナイフ4,000円 バターナイフ5,000円 +郵送費500円

こんにちは。かめおか霧の芸術祭 KIRI²芸術大学を担当としている佐藤壮一郎です。

私は昨年の春に野鍛冶職人の堀田さんとお会いして、鉄を巧みに加工される技に驚きました。
私たちの生活で見慣れたハサミや釘、これらは全て鉄でできています。
鍛治と聞くと、我々の生活から遠くに感じてしまうかもしれませんが、実はとても身近な存在です。

日本の道具は、それぞれの用途や人に合わせて調整をして大切に使われてきました。
そんな私たちの生活を支えてきた伝統的な文化である野鍛冶に感動したため「こだわりの金物を作る野鍛治体験」を開催しました。

堀田さんのレクチャーは面白く、鉄を打つ技術だけでなく、さまざまな背景から教えて下さります。

「実は日本語には鍛冶屋から生まれた言葉がたくさんあります。」と堀田さんは仰います。

・相槌を打つ:師の打つ槌に弟子が合わせて打つこと
・とんちんかん:”トン,テン,カン”のリズムで3人で打っていたものが打ち損じて”トンチンカン”と聞こえる
・鉄は熱いうちに打て:これはそのまま体験してみると分かります……(笑)

このように近頃では鍛冶の文化に触れる機会は多くはありませんが、古くから人の暮らしのすぐ近くに鍛冶はありました。

鍛冶屋には槌以外にも鉄を打つ土台として活躍する金床や、火箸など様々な道具が必要です。
そしてこれらの道具は親方から譲り受けた槌以外は全て自分のものは自分で作り出すとのこと。
一つの槌と人の手を介して、自然から道具が生まれることを想像すると一つ一つの道具が非常に尊く感じます。

そんな道具の背景を知り、今回はオリジナルのバターナイフもしくはペーパーナイフを鉄筋から作ります。
手順としては鉄を900~1500℃に熱し、土で叩き薄く形を整えていきます。
こうして文字でみると非常に簡単そうに見えますが、実は非常に難しい!

力任せに打っても、綺麗に思った軌道で槌を触れないと上手く力が伝わらない。
熱しすぎると火花を飛ばして、形が崩れやすい。
腕だけでなく、全身がヘトヘトに!

気がつけば2月なのにみなさん汗だくに……

しかし硬い鉄を叩き、徐々に姿が変わっていく様子は、自分のイメージと近づいてくる感覚を感じ、達成感を得ることができました。

参加者の中には一生懸命作ったバターナイフを娘の嫁入りのプレゼントにされた方もおられ、みなさんお気に入りの作品を作ることができました。