KIRI WISDOM 4「ルアン&ノエミ プレゼンテーション会」

ゲスト:LUAN BANZAI(ルアン バンザイ)No Émie(ノエミ)

 

日本の裏側ブラジル・サンパウロから日本にやってきた2人。2ヶ月間の滞在期間で、かめおか霧の芸術祭に関わるイベントを映像で記録してくれた2人は、初めて訪れる亀岡という場所で、どのような体験をしたのか。
KIRI WISDOM 第4回は、Luan (ルアン)No Émie (ノエミ)が亀岡で何に包まれていたのか、どのような滞在だったかを振り返ってもらった。

 

田舎な亀岡

ルアン:ぼくはサンパウロから来ました。2年前スイスの大学に通っている時、交換留学生として京都造形芸術大学で学び、松井先生や八木良太先生、CHIMASKIの酒井先生のもとで学んでいました。
ビジュアルデザインや映像などを学び、今もそれに携わる仕事をしています。

ノエミ:私はスイスで生まれ、スイスの大学に通っていました。そこでルアンと出会いました。

ルアン:ノエミとパートナーになり、様々な場に一緒に出向き、同じ体験し、それをアイデアにつなげています。私たちが亀岡に来たのは10月10日でした。
晴れ間があって、山や川が近くにあって、いつもは大きな都市で暮らしているので、とても新鮮だった。

ノエミ:私はスイスに生まれたので、自然が多い亀岡の風景は、ふるさとのような懐かしさがありました。KIRICAFEは伝統的な日本の古民家の趣がすぐに気に入りました。先に滞在していた吉村静さんやルイスともすぐに仲良くなれたし、KIRICAFEのご近所さんに庭の花を分けてもらったり、KIRICAFEのメンバーにパーティーを開いてもらったり、亀岡のコミュニティに歓迎してもらえたことはうれしい体験でした。

かめおか霧の芸術祭を記録する

ノエミ:亀岡に滞在して最初のプロジェクトはかめおか霧の芸術祭関連イベント「きむらとしろうじんじん 野点@亀岡」(主催:みずのき美術館)の記録撮影でした。2台のカメラで朝から夜まで映像を撮りました。編集はブラジルに戻って進める予定です。
じんじんさんのカラフルで派手な衣装やメイクがとても好きでした。

ルアン:じんじんさんは日本のアニメのキャラクターのようでした。仙人のような…。初めてのプロジェクトで、みずのきや野点のスタッフなど、チームで動くことができ、ぼくも力をもらいました。それはすごく大切なことだと思いました。

ルアン:次のプロジェクトは山フーズと霧のクレープをつくるプロジェクトを担当しました。
このプロジェクトのためにもっと亀岡を体験する必要があり、亀岡の霧や植物の写真を撮りに回りました。わたしたちのリサーチをもとにクレープを山フーズさんがつくるプロセスだったので、クレープの食感につながるような素材の集め方をしました。
そして霧を体験してもらうために映像も制作しました。
もうひとつのプロジェクトは、ガレリアかめおかで行われた「かめおか霧の芸術祭 キックオフイベント」です。このプロジェクトでは、当日の記録映像と、八木良太さんのパフォーマンスで使用する映像素材の準備でした。
そのために八木先生と保津川下りをしたり、八木先生のアトリエに出掛けたりしました。

他にもKIRI CAFEのデザインも担当されているCHIMASKIが進める「Whole Love Kyoto」の映像を撮ったり、たくさんのプロジェクトを与えられたことによって、いろいろな人と接触する機会が増え、またそこからまた広がった人脈のおかげで、貴重な体験ができました。滞在期間中、いろいろな方が気にかけてくれて、ほんとうにありがとう。

Q1.亀岡での生活は寒くて大変でしたか?

ルアン:ブラジルの出身なので、寒い日はどうやって体を温めたらいいか、最初は分からなかった。今は、服の重ね着もするようになったから、大丈夫。

ノエミ:夜になると隙間風が入ってきてとても寒かった。だけど田舎暮らしすることは、いつもできない体験だったから楽しかった。亀岡は京都市内にも20分くらいで出られる距離感もよかった。

Q2.亀岡らしさみたいな体験はありましたか?

ノエミ:亀岡を体験するうえでKIRICAFEが大事なポイントになりました。自然に日本らしさを体験できる場所でした。そしてKIRICAFEには年配の方から若い人まで、いろいろな世代の人が集まり、一緒にプロジェクトを進めていることに感激しました。スイスはKIRICAFEに比べると、世代ごとに分かれて別々に動いているように思います。

ルアン:ブラジルはパワフルなエネルギーが常に循環しているけれど、それに比べると亀岡は穏やかでした。ゆったりしたリラックスした雰囲気があり、長い時間、撮影のタイミングを待ったり、それはブラジルにはない体験でした。ブラジルに戻ってからこの経験がどう生かせるか自分でも楽しみにしています。

Q3.亀岡の好きな場所はありますか?

ルアン:馬堀駅の近くになる請田神社。日本の秋を今回初めて体験したのですが、静かな空間に紅葉した葉っぱが落ちてくる様子は、日本らしさがまさに目の前にあるという特別な体験でした。

Q4.ことばの壁で大変だったことや不安はありましたか?

ルアン:不安は特になく、むしろことばの壁は嬉しかった。いつもことばを交わすだけでコミュニケーションが済むけれど、ことばの壁があることで、五感を使わないといけなかった。相手の伝えたいことを探るために、眼をみて、ジェスチャーをみて、ベストをつくすことができた。アーティストにとってそれはクリエイティブにつながりました。ことばがわからないことで全然違う方向のことを考えてしまう。それが結果的に別のアイデアに繋がったり、想像の範囲が広くなるのを感じました。

Q5.2020年かめおか霧の芸術祭でしたいことはありますか?

ルアン:先のことをあまり考えていなくて、いつも「今」のアイデアを考えている。でもこれで「亀岡さよなら」じゃなくって、「またね」って思ってる。

 


 

LUAN BANZAI(ルアン バンザイ)
1988年ブラジル生まれ。2006年、映像の仕事を主とした「Banzai Studio」を友人3人とブラジルで設立。スイスのジュネーブ造形芸術大学でビジュアルアートの学位を取得。現在は映像やドローイングなど様々なビジュアル表現を用いて制作を行っている。

No Émie(ノエミ)
1994年スイス生まれ。スイスのジュネーブ造形芸術大学でグラフィックデザインと美術史を学ぶ。現在はブラジルのサンパウロに住み、デザイン、空間デザイン、そしてビジュアルアートなどに携わる仕事を行っている。

 

次回
2019/1/26
KIRI WISDOM vol.5「お茶堂の話」
ゲスト:きむらとしろうじんじん 安川雄基

更新日 2018/12/28