インタビュー 星野潤(発酵食品)
- インタビュー
共同作業からアイデアが生まれる
発酵を通じて人とつながる
―――まず、亀岡に来られるまでの経歴を教えていただけませんか。
大学では文化人類学を学びました。いろんな先住民に興味があるのと、自然が好きだったから。卒業後に4年ぐらい働いて、オーストラリアに一年いきました。
日本に帰ってきてからは、日本の農業コミュニティなどで働きながら、日本中を旅したました。二十代の後半からの飲食店いて、実際に現場も入りながら、コミュニティというものに深く関わりました。そこから、農業で地域おこしをするプロジェクトがあって、そこに参加したのがきっかけで、5年くらい前に亀岡と関わるようになりました。
今は京都オーガニックアクションというプロジェクトに参加していて、それはオーガニックの農家がつくった野菜を京都市内の八百屋さんや飲食店に届けるというものです。
―――今現在はどのような仕事をされていますか。
京都オーガニックアクションの野菜の配達だったり、味噌・麹作りの仕込みワークショップをやっています。他にはお米の時期になると米関係の仕事をしたりとか、地域の季節ごとの仕事もしています。
―――なぜ味噌を作っているのでしょうか。味噌に興味を持ったきっかけや、味噌の魅力について教えていただけますか。
震災をきっかけに、自分で何か作るようになりました。日本の伝統的なものであるし、簡単にできるということ、材料が手に入りやすいことや、調理にも保存にも電気が必要ないというところが味噌の魅力だと思います。長期保存できるのもいいですね。
―――作り方で気をつけているところはありますか。
僕、味噌を作る時もなるべく手作業でやるようにしていて。みんなとやるんですけど、初めて会う人とでも自然と会話になるんですよね。そういう会話の中から新しいアイデアが生まれたりとか。また集いましょう、とコミュニティができる。味噌とか発酵をツールにして、人がつながっていくところがすごく好きです。
発酵文化を発信したい
―――星野さんにとって、亀岡はどんなところだと思いますか。
亀岡は、農業がすごくやりやすいイメージがあります。フィールドが広い、町にも近く、アクセスがすごくいい。それに山間部と比べて温度もそこまで寒くならないから、バランスがいい場所だと思います。
―――かめおか霧の芸術祭に期待することはありますか。
このワークショップには、近くのカフェを経営されている方に誘ってもらったんですけど、そんなふうに地域の方々が協力して作り上げていく感じがすごくいいと思うし、共感しています。
―――発酵食品と芸術はどのような関係にあるでしょうか。
発酵食品は自分自身で作る食品で、どんな作り方をするか、どんな材料を選ぶか、どんなふうに食べるかということ自体が、僕は芸術だと思います。今後は、英語圏に向けた日本の発酵文化の発信をやってみたいですね。
文 / SUN QIARAN(京都造形芸術大学文芸表現学科 卒業生)
星野潤(ほしの・じゅん)
「ほしの糀」代表。大豆・麹作りから味噌作りをおこなう、自称・発酵男子。日本・世界放浪後、東京で暮らしている時に3.11を経験。当時暮らしていたシェアハウスのメンバーと一緒に味噌作りを開始する。
その後マルシェのオーガナイズや味噌作りワークショップの案内役などを通して農村と都市コミュニティーをつなげるべく活動。2013年より京都の里山・京北に移住。田舎暮らしをはじめる。現在はそれぞれ子育て真っ最中の2家族で古民家をシェアしながら生活している。 http://dijyurijun.exblog.jp/
公開日:2019年7月4日