レポート 俣野多映子(ヨガ)

ヨガ「葉っぱ ヨガ」

葉っぱと呼吸

11月の下旬、この日は濃い霧が出ていて教室の中も寒く、集まった参加者たちの緊張もあってか張りつめた空気の中で、ワークショップ「葉っぱヨガ」は始まった。

最初に行われたのはストレッチ。「いきなりヨガを始めるよりも、まずはこうして身体をほぐしてからやったほうが、動きやすくなる」と俣野さんは説明する。座って、立ってを繰り返しながら、足や手首、肩、首の凝りをゆっくり解(ほど)いていく。血が周り始め、身体が徐々に温まっていくのが分かる。俣野さんは事前に参加者たちから身体の悩みを聞いており、体調の改善に役立つようなストレッチも取り入れていた。

俣野さんの行うヨガは「ハタヨガ」というもので、「ハ」は太陽、「タ」は月を表している。この2つは吸う息と吐く息、つまり呼吸の仕方に関連付けられていて、ワークショップで用いられた「葉っぱ」は、目に見えない息の流れを分かりやすくするために一役買っている。

例えば、胡坐(あぐら)をかいて腹式呼吸を意識しながら、掌に載せた葉っぱを吹き飛ばすヨガがあった。身体にたくさん取り入れた息を腹の底から吐き出していくこの呼吸法は、慣れていないとなかなか大変だ。「いっぱい吸って、いっぱい吐く」ことに気を取られ過ぎると肝心の呼吸が疎かになってしまい、葉っぱが遠くまで飛んでいかない。参加者たちはフッフッと力強く息を吐いて、葉っぱを掌から飛ばしていた。レクリエーションに近いような楽しさがあって、ワークショップが終わった後、「葉っぱを飛ばすのが楽しかった」と話している参加者もいた。

自然とリンクするヨガ

今回のワークショップは、普段忘れてしまいがちなこと、おなざりになってしまいやすいことを見つめ直す息抜きの場にもなっていた。コンクリートに囲まれた日々の生活の中では、呼吸を意識できる機会はなかなか得られない。生きていく上で大切なものを改めて実感させてくれる、亀岡の自然と芸術祭のコンセプトを兼ね備えた「葉っぱヨガ」は、ここでしか経験できないものを与えてくれた。

文 / 隈部さつき(京都造形芸術大学文芸表現学科3年)

公開日:2019年7月4日