西久松友花

西久松友花 Nishihisamatsu Yuka

 

 

作品タイトル / 説明

  • 常花 
  • 炎華

 

私たちは無意識的に死後の世界の存在を信じているのかもしれない。現在に至るまで、人は様々な方法でその世界を表現し伝えてきた。多種多様な死生観があるが、日本では主に浄土や地獄といった死後の世界の概念が浸透しているように思う。その概念によって時に人は自身を律する事もあるだろう。本来、浄土に自然は存在しないとされている。樹木や花は金、銀、宝石などで構成された「宝樹」と呼ばれるもので、完全に人工環境なのである。これは一見意外に感じるが、動植物やものを含む自然を人の領域から切り離して考えてきた我々には然るべき事なのかもしれない。モノや情報が溢れ、感受性を失った社会が形成されつつある。日々に翻弄され自身の存在が朧げになりそうな中に、そんな社会から離れた世界に思いを馳せ、憧憬の念を抱いている。そして浄土にはどんな花が咲いているのだろうかと想像するのである。

 

 

西久松友花 Nishihisamatsu Yuka

1992年京都府生まれ。宗教的象徴物や歴史的文化的 背景を持つものの形や装飾を土で象形し、再構築する 事で独自の装飾表現へと繋げ、再解釈を試みている。 鑑賞者の潜在的な記憶の一部分に触れる事を目的の一 つとしている。主な展覧会に「KYOTO ART LOUNGE EXHIBITION ベ ール の 光 景」COCON KARASUMA 2Fアトリウム(2022)、「国際工芸アワードとやま2020」 富山県美術館(2020) など。